連帯保証人は、保証人とは違い、債権者から請求を受けた場合、主たる債務者(主債務者)に先に請求するようにと言うことができる権利(催告の抗弁権)と、主たる債務者に弁済の資力があることを証明して、その請求を拒否できる権利(検索の抗弁権)がありません(民法454条)。
つまり、借金をした本人に支払い能力があったとしても、債権者は連帯保証人に返済を迫ることが出来るのです。
そのため、連帯保証人が背負う責任は、借金した本人とほとんど変わらないのです。
では、借金をした本人(主債務者)が時効の援用をした時に、連帯保証人にはどのような影響が出るのでしょうか?
主債務者が時効の援用をした場合
結論から言えば、主債務者が時効の援用をして、時効が完成すると、連帯保証人にもその効果が及びます。
なぜなら、連帯債務は、主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる(民法第457条)といいう性質(附従性)があるからです。
そのため、連帯保証人の時効も完成されることになります。
では、連帯保証人が時効の援用をした場合はどうなるのでしょうか?
連帯保証人が時効の援用をした場合
連帯保証人は、主債務者に関する時効の援用と、保証債務に関する時効の援用をどちらもすることができます。
どちらの債務の時効を援用しても、連帯保証人は借金を支払う義務は消滅します。
しかし、このケースでは、主債務者の時効が成立するわけではありません。
主債務者が債権者に返済していた場合
主債務者が返済をしていた場合、時効の中断が適用されるため、時効の成立要件を満たしません。そのため、主債務者は、時効援用をする権利は無くなります。
連帯保証債務は、主債務に従うという性質(附従性)があるため、同時に連帯保証人の時効も中断されることになります。
連帯保証人が債権者に返済していた場合
連帯保証人が返済することで、進行中の時効はストップされ、新たに時効期間がスタートします。
しかし、連帯保証人が返済していた場合でも、主債務者の時効は中断されることはありません。
主債務者が時効の援用し、時効が成立すると、主債務者の主債務が消滅したことにより、連帯保証人の連帯保証債務も消滅することになります。