時効を成立させるためには、下記の3つの要件を満たしている必要があります。
- 一定期間にわたって、借金を返済していないこと
- 時効が振り出しに戻っていないこと
- 時効の援用手続きをすること
1.一定期間にわたって、借金を返済していない
時効を成立させる条件のひとつとして、
一定期間の間一切借金を返済していないことが当てはまります。
消費者金融などの貸金業者からの借入れ(商事債権)は5年、個人間の貸付け(民事債権)は10年です。
ここでは、一般的な貸金業者からの債権(商事債権)を想定して説明します。
時効の成立までの要件は5年ですが、時効の成立要件である5年ちょうどで時効の援用をすると、まだ5年が経過していないというケースもあるようです。
もし、5年が経ったと勘違いをしたまま時効成立のための手続きをしてしまうと面倒なことになります。
そのため、時効援用手続きをする際は、確実に5年以上が経過している必要があります。
貸金業者からの借入日時を忘れてしまったので、起算点が分からないという場合は、貸金業者に対して取引履歴の開示を行い、確実に5年以上が経過しているか確認する必要があります。
2.時効が振り出しに戻っていない
時効が始まって完成するまでの間に時効の中断が発生した場合、時効の進行がストップしてしまいます。
そして、その時点から、また新たに時効期間がスタートすることになります。つまり、時効の中断があった場合、時効は振り出しに戻ることになるのです。
詳しくは、『時効の中断とは』をご確認下さい。
3.時効の援用手続きをする
時効は、自然に成立するものではなく、成立させるためには、時効の援用をする旨を相手方に伝える必要があります。
通常、時効の援用手続きは、内容証明郵便という形式でもって債権者に書面で送付する必要があります。
内容証明郵便とは、「誰が、誰宛てに、いつ、どのような内容の書面を送ったか」ということを、日本郵便(郵便事業株式会社)が保証してくれる郵便です。
内容証明の効果・効力
- 誰が誰に手紙を出したか
- 手紙を出した日付
- 手紙の内容
なぜ、内容証明郵便で時効援用の手続きをする必要があるのでしょうか?
時効の援用は、口頭や電話、通常のハガキ・封書で伝えることも可能です。
しかし、それでは証拠として不十分で、言った言わない、聞いた聞いてないの水掛け論になることもあるため、それを証明できる確実な証拠が必要になるのです。
その点、内容証明郵便で意思表示をすると、第三者である日本郵便が証明してくれ、コピーも手元に残るため、相手方も言い訳をすることは出来ません。
このように、内容証明郵便は、証拠として強い力をもつことから、裁判を起こす前の下準備として用いられることもあります。
内容証明郵便は、個人でも作成する事ができます。
しかし、時効成立に必要な期間が経過していなかったり、支払督促などによる時効の中断が発生していたりする可能性もあるため、個人で行うのはリスクがあります。
そのため、通常は専門家に依頼することになります。
専門家が作成・送付した内容証明郵便なら、時効の援用が成立しなかった場合でも、対応窓口となって調停をしてくれるため安心です。