時効の起算点

時効の起算点とは?

時効の起算点はおおまかにいうと、時効期間のスタート地点を意味します。

時効の援用は”法律で定める期間を過ぎたら、借金の時効を主張することができる”というものです。

たとえば時効期間は10年・5年と決められているものですが
では、その10年・5年のスタート地点(起算点は)どうやって決めるのか?

基本的に時効の起算点は時効期限が到来する日から計算して決めたものになります。
ただ、例外もあるので、以下をご参照ください。

起算点の具体例

時効の起算点は事案によって異なります。

事案 時効の起算点
確定期限付の債務
(借金返済日が決まっている債務)
確定期限の到来時(例:返済日)
不確定期限付の債務※1
(必ず発生するが時期が不確定な債務)
不確定期限の到来時
期限の定め無き債権※2 債権が成立したとき
(一部でも返済すると最終返済日の翌日から起算点となる)
債務不履行による損害賠償請求権
(例:依頼した商品が納品されない等)
本来の債権について履行請求できるとき
(約束した納品日時から)
契約解除による原状回復請求権 契約解除時
返還時期の定めの無い消費貸借 債権成立後、相当期間経過後
不法行為に基づく損害賠償請求権 被害者が損害及び加害者を知ったとき

※1※2…不確定期限付の債務期限の定め無き債権 の違い

不確定期限付の債務……誰かの死亡等、いつ到来するかわからないものを期限としたもの。
                   (”いつ来るかわからないけど、必ず到来する“もの)
期限の定め無き債権…言葉のとおり何も期限となる物を定めていないもの。

ケースによって変わる起算点

返済期日を定めた場合、定めなかった場合
一度でも返済した場合、返済しなかった場合によって起算日がいつか混乱することがあります。
以下の表を参考にしてください。

ケース 起算点
返済期日を定めない契約で、一度も返済しなかった場合 起算点は、契約日の翌日で、時効はそれから数えて5年。
返済期日を定めない契約で、一回以上返済した場合 起算点は、最後に返済した翌日で、時効はそれから数えて5年。
返済期日を定めた契約で、一度も返済しなかった場合 起算点は、最初の返済予定日の翌日で、時効はそれから数えて5年。
返済期日を定めた契約で、一回以上返済した場合 起算点は、最後に返済した次の返済予定日の翌日で、時効はそれから数えて5年。

(例)
消費者金融の返済を支払期限の3月31日までにしなかった場合(1回でも支払わないと期限の利益を喪失する約款あり)
⇒3月31日に期限の利益を喪失し、消費者は残金を一括で支払う義務を負います。

しかし、消滅時効の起算点は、4月1日でこの日から5年の時効が進行します。

 

民法第140条「原則は初日不算入です」について

民法第140条の「原則は初日不算入です」について解説致します。

本条は暦法的計算による期間の起算日について規定されたものです。
日、週、月又は年によって期間を定めた時は期間の初日を算入しない
つまり「初日は起算日に入れませんよ」ということです。
ただ、その期間が初日が午前0時から始まる場合は、例外的に初日も期間に参入します。

たとえば期限の利益喪失日が3/31だとすると(債務者が債務の履行をしなくてもよいという利益の期限日)
時間は、3/31の営業時間の終了時から期限の利益が喪失する ということになります。

これは商法第520条で
法令又は慣習により取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り債務の履行をし、又はその履行の請求が出来る
と規定されたものです。

ということは、もしも債権者の取引時間が午後18時の場合は
3月31日午後18時を経過すると期限の利益が喪失する ことになります。

債権者は期限の利益喪失日(3月31日)から残金の一括返済を請求出来ますが
この場合は、消滅時効の起算点は初日が午前零時から始まっていないので初日は参入されず、4月1日が起算点となります。

 

期間の満了点

期間の満了点とは
起算点が始まりの地点に対して、満了点終わりの地点を表します。
起算点と満了点の原則的な取り扱いは、民法によってそれぞれ定められています。

民法第141条によると
日、週、月又は年によって期間を定めた時は、その末日の終了をもって期間満了となります。

時・分・秒や日・週・月・年によってもその取り扱いが変わってきます。
では、その取り扱いを順を追ってみていきましょう

時・分・秒を単位とする計算の場合

この場合、その場で起算点となります。

(例)今から(←今=午後12時30分10秒とする)2時間後の場合
起算点:即時なので午後12時30分10秒
満了点:午後14時30分10秒

日・週・月・年を単位とする計算

このケースは初日が丸一日ある場合(24時間、つまり午前0時から始まるとき)以外は初日は起算日に数えません。

(例)平成22年2月10日午前10時から三日間の場合
2月10日午前10時なので、2月10日は24時間ではありません、翌日の2月11日(起算日)の午前0時から計算することになり
平成22年2月10日午前10時から、5月14日(末日)の24時までの三日間ということになります。
起算点:2月11日の午前0時
満了点:5月14日の午後24時

月・年を単位とする計算の場合

月・年単位になると、日数に換算せず暦に従って計算します。(民法第143条1項より)
また、月や年の最初から期間を起算しない場合は、起算日の前日が末日となります。

(例)平成22年2月10日午前10時から三か月
起算点:平成22年2月11日
2月11日の三か月後は5月11日で、その前日が5月10日、平成22年5月10日が末日となります。
したがって
満了点:平成22年5月10日の24時

年単位でも計算は一緒です。
また、末日が日曜・祝日になる場合はその次の日が末日となります。
最終の月に応答する日がない場合は、その月の末日としています。